8割のお客様が箱なしで持ち帰る現状を受けて開発
神戸レザークロスが展開する「エスペランサ」は、環境への取組みを考慮し、初のノーボックス化に取り組みました。生産、物流、店舗までが一体となった、靴箱を無くしたビジネスモデルは、神戸レザークロスの「NO BOX」ビジネスモデルとして、現在特許出願中です。
これまで「エスペランサ」では、年間に販売する50~60万足の靴を購入されたお客様のうち、商品を靴箱に入れてのお持ち帰りは2割にとどまり、残り8割のお客様は商品のみを持ち帰られていました。サンダルからブーツまで、多彩なデザインを揃えるレディースシューズは、一定の靴箱に入れることで、流通や保管がしやすくなり、長年この業界の流通を支えてきました。その為、神戸レザークロスでは「NO BOX」スキーム構築の為に生産から物流、店頭運用まで全てを整理し、見直しと検証を重ねながら、およそ1年をかけてこのスキームを構築しています。
「NO BOX」プロジェクトを推進した福田さんインタビュー
神戸レザークロス 生産本部 生産チーム 福田 裕樹
神戸レザークロスに入社したのは、6年前になります。元々飲食や医療関係など、その時々で興味があった業界で仕事をして来ました。神戸レザークロスに応募したのは、もの作りやファッションが好きだったということと、生まれも育ちも神戸近郊で、靴の産業がこの地域に集積しているということもあり、携わりたいと考えたからです。業務は生産本部として、納期管理や原価率の安定化、また品質管理として不良品を無くしていくことなどを行っています。過去の情報を分析して予測した上でのメーカー選定や、メーカーと折衝して日々の生産につなげています。
「NO BOX」は上司と二人三脚で取組みました。2019年にワールドグループになってから取り組んだもので、目的は第一に「エコに取り組むこと」、またスタッフの販売外業務の軽減にも繋げたいと考えました。物流や店頭の協力も経てプロジェクト開始から1年強で運用をスタートすることが出来ました。取り組む上では「本当に靴箱が無くなっても問題が無いか」全店にアンケート調査をして、運搬やストックでどんな風に管理をしているかまで、ミーティングの場を持ちながら進めています。その上で、新たに可変式の仕切りを入れたパッキンのサンプルを作り、検討を重ねました。
今年2月の運用から3か月以上が過ぎ、再度全店へのアンケートを取り、残る課題を洗い出したところ、可変式の仕切りの強度が足りないということで、再びサンプルを作成しました。今後再びヒアリングして検証、このサイクルを経て、「NO BOX」のビジネスモデルを確立させていきたいです。また、店頭でやはり靴箱が欲しいというお客様には、リブランディングした「エスペランサ」として、新しいイメージの靴箱も検討しています。
「エスペランサ」は55年を超える歴史があるブランドです。ここで生産に携われることに責任を感じますし、社が掲げる“ONE KLC”という言葉の通り、ラスト、アッパーから資材、素材、底材まで、靴作りの全てをカバーできることが神戸レザークロスの強さです。履き心地を武器に商品を提案する「エスペランサ」の良さを伝えていけるよう、自分の業務を磨いていきたいと考えています。
環境問題にいち早く着目、1973年から
神戸レザークロスでは、21世紀の水資源保持と緑の確保、二酸化炭素の削減を目的に、兵庫県宍粟市一宮町で杉・檜(ひのき)の造林事業を1973年から手がけています。地球環境の破壊・汚染の諸問題にいち早く着目し、「心地よい生活環境を次世代に残したい」という思いを1本1本の木にこめて、植えられた苗木が、年輪を重ね大きく育っていくのを見つめています。