公正取引委員会の審決について

公正取引委員会の審決について

当社は、平成19年12月4日に公正取引委員会が当社に対して行った審決について、下記のとおり、お知らせいたします。

1. 経緯と事象

当社が平成12年2月から八木通商株式会社(以下、八木通商)から仕入れ、当社の一部店舗で販売したイタリア国GTA MODA社(ジー・ティー・アー モーダ社)製造の紳士及び婦人衣料品について、実際にはルーマニア製であった旨の連絡を平成16年7月に八木通商より受け、当社は直ちに当該商品の販売を中止すると共に、新聞社告、ホームページ、店頭POPなどを通じて、購入頂いたお客様に向けて回収の手続きを進めました。

本件については、平成16年11月に公正取引委員会より、八木通商及び当社並びに同様の販売を行った4社に対して、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景表法)第6条第1項の規定に基づく排除命令が行われましたが、公正取引委員会と見解の相違があることから、不服申し立てを行い、平成17年3月から公正取引委員会において審判が開始され、平成19年2月の第14回審判期日で結審しました。その後、平成19年12月4日に公正取引委員会より、当社に対して審決が出されました。

2. 審決内容について

公正取引委員会より排除命令が下されて以降、14回に亘る審判期日の結果、出された審決の主な内容は以下の通りです。排除命令書で下された 1.誤認排除措置、2.再発防止措置、3.公正取引委員会への報告については、当社の主張が認められ、審決では必要ないと判断されました。従いまして、主文からは除外されています。

×:命令あり ○:命令なし

  排除命令書
(平成16年11月24日)
審決
(平成19年12月4日)
1. 誤認排除措置 ×
2. 再発防止措置 ×
3. 不作為命令 × ×
4. 公正取引委員会への報告 ×
※ 表示の主体 八木通商及びワールド 八木通商及びワールド
  1. 誤認排除措置:一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること。また、公示の方法について、事前に公正取引委員会の承認を受けること。
  2. 再発防止措置:同様の表示が行われることを防止するために必要な措置を講じ、自社の役員及び従業員に周知徹底させること。
  3. 不作為命令:今後、当該商品の原産国について一般消費者に誤認される表示をしてはならない。
  4. 公正取引委員会への報告:1の公示及び2の措置について、速やかに文書をもって公正取引委員会に報告すること。
  • ※ 表示の主体:ワールドも景表法上の表示を行った者(表示の主体)に該当する。

3. 今後について

当社が消費者の誤認排除のために誤表示の事実判明後に速やかに実施した新聞社告の意義、並びに、同様の事態が生じないため行った社内での研修や取引先への要請等の再発防止策の意義を公正取引委員会が認め、再度の新聞社告による公示及び更なる再発防止措置を命じなかった点は、自主的かつ積極的なコンプライアンスに対する企業姿勢が認められたこととして、今後の企業の取るべき行動にも好影響をもたらす審決であると、高く評価しています。

一方、排除命令の対象となる原産国表示の主体にいかなる者が該当するかということに関し、公正取引委員会が定立した基準(表示内容を積極的に決定した者に限らず、他の者に表示内容の決定を委ねたような者なども含まれるとする)は曖昧かつ広範にすぎ、自らが直接海外から商品を輸入する場合を除き、輸入品の原産国も含む品質全般を保証する輸入代理店から仕入れて販売する場合においては、何一つ販売会社の今後の実務上の指針は示されておらず、極めて遺憾な結果となりました。

この結果を受けて当社としては、曖昧な表示主体の基準について、より明確な指針を導き出すために、東京高等裁判所に抗告することも検討しましたが、司法判断に委ねるよりは自らの工夫と努力でこれを明確にしていくことが最善と判断し、審決取消訴訟は提起しないこととしました。