皮革について
皮革は生きています。皮革は汗を吸い取り(吸湿性)、適当に発散(放湿性)し、風を通さず(保温性)、カラダになじみやすい快適な衣料素材です。
牛、羊、豚などの皮革は、カラダになじみやすい快適な衣料素材です。
皮革製品の素材
牛
用途がもっとも多い重要な革。丈夫で美しい。ただし、産地、性別、年齢によって品質にかなりの差がある。
カーフ | 生後約6ヵ月以内:薄くキメが細かい |
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キップ | 生後約1年以内:カーフよりキメが細かい |
カウ | メスの成牛 |
ステア | 去勢したオスの成牛 |
ブル | オスの成牛:丈夫で厚くキメが細かい |
羊
柔軟、軽快。
ラム | 仔羊 |
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シープ | 成羊:軽く柔らかで防寒材料に多い |
豚
牛に次いで用途が広い。毛穴が大きく裏側まで通っている。
ピッグスキン | 革の表面に毛穴が3つずつ並んでいる。 |
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ペッカリー |
この他に、山羊(キット・ゴート)、馬(コードバン)、鹿(セーム)、ダチョウ(オーストリッチ)、カンガルー、ヘビ、トカゲ、ワニ等があります。
皮革の断面
皮革の種類と加工方法
表革 | 銀面(皮革の表面、毛穴のある側)を表に使用したもの、ヌメ革、アニリン革等がある。革特有のシワ模様がある。 |
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スエード | 銀面の裏側を使用し、サンドペーパー等で起毛させたもの。 |
バックスキン | 本来は鹿の銀面を起毛させたものをいうが、現在では、スエードと同じ意味で用いられている。 |
ベロア | スエードと同じく裏革を起毛させたものだが、スエードより毛足が長く繊維が粗い。 |
ヌバック | 牛革の銀面をサンドペーパー等で削り、ビロードのような風合いに仕上げたもの。 |
ヌメ革 | タンニンなめし革で比較的柔軟性がある。 |
エナメル革 | 銀面に油脂や合成樹脂を塗って光沢をだした革。 |
ガラス張り革 | 銀面をサンドペーパーでこすって、樹脂や顔料を塗り、ガラス板に張りつけて乾燥させたもの。 |
シュリンク革 | なめしの工程中、薬品処理をして人工的にシワを付けたもの。 |
型押革 | 銀面に変化を持たせるため、型を押して仕上げた革。 |
熱に弱い
50℃以上の熱を加えると硬くなったり、縮んだりします。
色落ちしやすい
革は熱に弱く、繊維製品のように高温で染めることができない、あるいは革の風合いを守るために加工しにくいことから、現在、革の色落ちを防ぐ方法はありません。
汚れやシミが染み込みやすい
汚れやシミが革の細胞深くに染み込むため、一度染み込んだ汚れやシミは落ちにくい。
湿気に弱く、カビやすい
湿度の高い状態では、付着しているシミや汚れがカビとなるのはもちろん、革そのものもカビが発生しやすい。
水に弱い
水分を含むと、縮んで硬くなります。
素材の均一性に欠けるが、個性的
皮革は、人間の肌と同じように一匹ずつ、また部位(背や腹等)によっても厚みやキメ細かさといった外観、革質に違いがあります。皮革製品は、何匹かの類似した部分をつなぎあわせて作るため、同じデザインの同じカラーでも色目や外観に若干の違いが生じます。それゆえ、繊維製品と比べ、個性も1枚ずつ異なります。
- ポイント
- 皮
- 動物の皮と肉を分けた際、剥ぎ取ったままの状態のものをさし、これを原皮(ゲンピ)という。
- 革
- 皮を腐らないようになめしたもので、製品化できる状態に仕上げたもの。